【Introduction of Iwakura 145】
□分類:石造実用設備(非イワクラ)
□信仰状況:信仰の形跡なし
□岩石の形状:石単体
□備考:容易に持ち運びできる石板に彫られた線刻、沖縄県立博物館で展示
□住所:沖縄県那覇市 沖縄県立博物館
□緯度経度:26°13'38.642"N 127°41'37.896"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
沖縄県北谷町上勢頭上森原の旧家から採取された縦36センチ、幅26センチ、厚み4センチの石板です。同様のものが沖縄県中部のグスクや拝所から計11点見つかっています。
丸や三角、渦巻きなどの記号不思議な記号が両面に彫られています。この石板にはUFOやピラミッドが描かれていて宇宙人が残していったものだというような説もありますが、いつ彫られたものかが重要です。
2017年に大阪の弥生文化博物館でこの石板の実物を見ました。渦巻きの部分などは、非常に細かい細工ですし、人の字形の記号はとても深く彫られていてエッジも立っています。アップで見ると彫った線の順番まで想像がつきます。石器ではとても彫れそうもなく、鉄器で彫ったと推測します。
2022年1月6日にフジテレビで放映された「世界の何だこれ!?ミステリー」の調査では、石板の表面の残塗料からチタンが検出されました。白色顔料については、1万年以上の前に描かれたスペインのアルタミラ洞窟の壁画には、白土(粘土)が用いられました。古代エジプトの時代になると「白亜(炭酸カルシウム)」、「石膏(硫酸カルシウム)」、「鉛白(塩基性炭酸鉛)」が使われました。1800年代には「亜鉛華(酸化亜鉛)」が使用され、そして、1900年代以降は「チタニウムホワイト(酸化チタン)」が使用されるようになります。したがって、石板の製造時代が100年ほどしか遡れない可能性が高いことになります。もちろん、もっと古い時代から伝わっていた石板に近年塗装したということも考えられますが、蓋然性に乏しいでしょう。この石板が近年に造られた物となると、彫られている記号は、明治中頃まで使われていた琉球固有の文字の可能性が高くなります。例えば、数量や所有関係を表すために使われたカイダー字という象形文字です。1609年に薩摩藩が琉球王国を武力制圧してから、沖縄の村落に重い税を課すようになりました。このときに、識字率の低かった人々を管理するためにカイダー字が使用されたと考えられています。
このように推論を進めると、沖縄のロゼッタストーンは、1900年頃に造られた石板の可能性が高くなります。
岩石信仰とは関係が無く、近年の製造物であることから石造実用設備(非イワクラ)に分類しました。
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