【Introduction of Iwakura160】Visit・Photo:2025.2.3/ Write:2025.2.22
□分類:岩石信仰(広義のイワクラ)
□信仰状況:神社に祭祀されている。
□岩石の形状:岩組と岩群
□備考:人工物。古代祭祀跡ではなく1620年頃に造られたと推測。
□住所:岡山県倉敷市本町
□緯度経度:34°35'51.35"N 133°46'24.10"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
倉敷の美観地区の鶴形山に総鎮守の阿智神社が鎮座しています。
昔の鶴形山は、海に浮かぶ小さい島で、このあたりは「阿知潟」と呼ばれていた場所です。『日本書紀』に「二十年の秋九月に、倭漢直(やまとのあやひのあたひ)の祖(おや)阿知使主(あちのおみ)、其の子都加主(つかのおみ)、並びに己が党類(ともがら)十七県を率て、来帰り。」と書かれています。この阿知使主が住み着いて、養蚕や絹織の技術を伝えて栄えた土地であったので、「阿知」と呼ばれていました。
神社の歴史は、1594年に近隣の寺院で祀られていた妙見宮を鶴形山に遷座したのが始まりとされ、1620年に社殿等が建設されました。明治の神仏分離令によって航海の安全を司る宗像三女神を祀る「阿智神社」となりました。
社伝には、神功皇后が三韓征伐の途中、暗闇で航路を見失ったときに、宗像三女神に祈願すると、天から雷鳴とともに明るく輝く三振りの剣が降ったため、応神天皇の御代に妙剣宮としてこれを祀ったと伝わっています。
さて、鶴形山の頂上部に、美しい檜皮葺きの入母屋造平入の本殿が建っています。その西側には岩石を配置した庭園のような場所があり、古代庭園と呼ばれています。これが鶴亀の石組で、南側が「鶴石組」、北側が「亀石組」です。それぞれの岩石には、南から「羽石」、「亀頭石」、「亀甲石」という名前が付いています。これらは人工的に配置した岩石群と考えられます。
河原武敏(東京農業大学教授)の『配置図』には、「磐座」や「磐境」という名が見られますが、この岩石群は「鶴石組」・「亀石組」と「石組」という名前を付けて区別されていますので、祭祀対象の岩石であったかどうかは疑わしいものです。
八木敏乗は、『岡山の祭祀遺跡』の中で、「これら組・配石は、社殿構築のために丘頂切崩しの際、丘頂部に在った御神体石(磐座)だった石か、整地のために掘削した時に掘り起こした石をもって庭園石組法則に準拠して組・配石されたものかの、いずれかである。」と書いています。これには同感で、社殿を造営するための整地時に、現社の社殿の位置に存在していて、邪魔となった岩石をここに集めて庭園風に並べたのではないかと考えます。
現在の鶴亀の石組には、神社によって注連縄が巻かれて祀られていますので、岩石信仰に分類しましたが、仮に御神体であった岩石だったとしても、動かされた時点でその真正性は失われています。鶴亀の石組が造られたのは1620年頃と推測します。
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