166 岡山県 吉備の中山 福田海の不動岩

【Introduction of Iwakura166】Visit:2018.3.3/Photo:2025.2.23/Write:2025.3.29


□分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:宗教団体に祭祀されている。

□岩石の形状:巨岩単体、横石

□備考:宗教団体福田海の祭祀に利用されている。


□住所:岡山県岡山市北区吉備津

□緯度経度:34°40'24.92"N 133°51'13.58"E

(googleに入力すれば場所が表示されます)

Google マップは現在の Cookie 設定では表示されません。「コンテンツを見る」を選択し、Google マップの Cookie 設定に同意すると閲覧できます。詳細は Google マップの[プライバシーポリシー]をご確認ください。Cookie の利用は、[Cookie 設定]からいつでも変更できます。

吉備国は「飛鳥浄御原令(687年)」によって備前国、備中国、備後国に分割されました。その時、吉備の中山が備中と備前に分けられましたが、その西側の境界が細谷川で、両国橋が架かっています。『古今和歌集』に「真金吹く吉備の中山帯にせる細谷川の音のさやけさ」と詠まれていますが、この歌は「細谷川」が都まで知られていたことを示しています。ちなみに「真金吹く(まがねふく)」は、鉄の精錬が盛んであった吉備を讃える枕詞です。

その両国橋の近くに宗教団体福田海(ふくでんかい)の本部があります。福田海は、神道・儒教・仏教・道教を折衷した宗教で、中山通幽(つうゆう)が1908年に創設しました。「福田」は、善い行いをすることで福が得られることを意味し、「海」は、全ての川が海になるように全ての宗派が力を合わせることを意味しています。観音経の「福聚海無量」にちなんでつけられた名称と考えます。京都府京都市のあだし野念仏寺の整備、京都府宇治市の十三重石塔の復旧、滋賀県東近江市の石塔寺の整備、平城京の初期保存など、文化財の保護の功績が大きい宗教団体ですが、自慢したり宣伝しないという陰徳積善を掲げているため、あまり知られていません。この本部にも、食肉の犠牲となる動物を供養する鼻ぐり塚があります。

さて、この福田海の施設の中に、四角い巨岩があり、日清戦争で沈んだ清の軍艦鎮遠の錨と役の行者の像と理源大師の像が載っています。この巨岩は不動岩と呼ばれています。

巨岩から吉備の中山を見ると、山の谷間が見え、その谷間から冬至の朝日が昇ります。

2024年の冬至の日に水平線から太陽が顔を出し始めるのは7時2分で方位は138.6度ですが、その方向には中山があるため、実際に山の稜線から太陽が顔を出し始めるのは1時間遅く、8時10分で方位は127.8度です。地図上で不動岩から谷間の方位を測ると120度~130度方向に谷間があります。

不動岩において、冬至の太陽が中山の谷間から昇るのを拝んでいたと考えて良いと思います。この不動岩の場所が聖地であり、吉備の中山の辺津磐座の一つと考えます。

また、このあたりは、有木氏の本拠地でしたので、この太陽祭祀に有木氏が関わっていたのではないかと推測しています。

「有木」は元々、「有鬼(ありき・ありぎ)」と表記しました。平安時代に吉備津神社(備中)から福山の吉備津神社(備後)に分社されるときに、吉備津神社(備中)から有鬼氏が派遣されて、吉備津神社(備後)の神主を務めたといわれています。また、吉備国から分国された美作の中山神社においても、有木氏が荷前(のさき)祭主を務めています。吉備国が備前、備中、備後、美作に分国されたときに、それらをつなぎとめる役割を果たしたのかもしれません。

なお、不動岩から山の谷に向かって40メートル離れた場所に有木神社があります。

藤井駿氏の『吉備津神社(1973)』によると「針間海自加直之神父子三神」が御祭神で、現在は吉備津神社(備中)の本宮に合祀されているようです。この針間海自加直之神は、針間牛鹿(はりまうしか)の事であり、針間牛鹿の祖先は彦狭島命(ひこさしまのみこと)です。彦狭島命は孝霊天皇の息子で吉備津彦と兄弟となります。 

#イワクラ #磐座 #巨石 #megalith #古代祭祀 #巨石文明 #古代文明 #岡山県 #岡山市 #吉備津彦神社 #吉備津彦神社 #備前 #備中 #福田海 #中山通幽 #不動岩 #有木 #有鬼


本ページのリンクおよびシェアは自由です。

最近、本ページの内容をそのままコピーして転載しているサイトを見かけますが、本ページの内容、テキスト、画像等の無断転載(複製して他の媒体に公開)を固く禁じます。特に、まとめサイト等への使用を厳禁いたします。また、出典を明記しての引用は許可していますが、以下の引用のルールに則って行ってください。それ以外は「盗用」「剽窃」となります。1.引用元が明示されていること/2.引用部分が明確に区別されていること/3.引用部分を修正していないこと/4.引用する必然性があること/5.分量的にも内容的にも、自分の著作部分が主で、引用部分が従であること


[さらに詳細な情報]