【Introduction of Iwakura 138】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:民間に祭祀されている
□岩石の形状:石積と岩単体
□備考: 石積の中心に立岩
□住所:沖縄県中城村泊
□緯度経度:26°17'00.904"N 127°48'01.639"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
沖縄には、グスクと呼ばれる場所が数百箇所存在しています。沖縄県文化財調査書には223箇所のグスクが報告されています。数10平方メートルから10万平方メートルまで、大小さまざまです。中心部には人工的に平場が造られ、周りは自然の険しい地勢を利用し、石垣が積まれているものもあります。13世紀以降に造られており、アジ(按司)と呼ばれる豪族や支配者の居城と理解してグスクに「城」の字が当てられています。
中城村のナカグスク(中城)は、沖縄県で最大級の大きさを誇ります。北東から南西に6つの郭が連らなる巨大なグスクで、石垣で囲まれています。14世紀後半にサチナガグスクアジ(先中城按司)が南の郭、西の郭、一の郭、二の郭を造り、1440年に王の命令により、ザキミグスク(座喜味城)から移ってきた護佐丸盛春によって、三の郭と北の郭が造られましたので、いろいろな時代の石積方法を見ることができます。1853年に訪れたペリー提督が石垣とアーチ門の技術水準に驚愕したと伝わっています。
ナカグスクの中には、ナカモリノオイベ(中森の御イベ)、ウトウクラヒヌカン(御當蔵火神)、クーグスクノオイベ(小城の御イベ)、アマゴイノウタキ(雨乞いの御嶽)などの8箇所の拝所があります。「イベ」や「ウタキ」と言う看板が立てられていますが、これらは祈りの場「イビ」のことです。
城の中に信仰の施設があることは、本州の城にも祠や神社が祀られており珍しいことではありません。しかし、本州の城では磐座や神社を壊して建築し、戦闘での防御を第一とした設計であるのに対し、沖縄のグスクでは、拝所を残して重視していたのではないかと思えるます。それは、ウタキやイビを中心に集落が発生し、その延長上にグスクができたからではないでしょうか。
さて、南の郭のアマゴイノウタキ(雨乞いの御嶽)は、広場の中央に設置され、U字形に石を積んで中央に2~3メートルの岩が立っています。磐座の形式をとっていますので狭義の磐座に分類しました。
しかし、立岩の存在感が伝わってきません。これはおそらく、石灰岩という岩質が影響していると思います。石灰岩は溶解するため他の岩石に比べて10から100倍の速度で風化します。沖縄島のほとんどの地表は、珊瑚由来の石灰岩で覆われており、穴だらけの岩石は直ぐに形が崩れてしまいます。永続性を失っている岩石に対して、本州における岩石信仰は発展しにくいと考えます。
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