【Introduction of Iwakura 1】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:巨岩組
□備考:周辺に中座、北座の磐座がある
□住所:兵庫県西宮市甑岩町
□緯度経度:34°45'32.34"N 135°19'18.97"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
高さ10メートル、周囲30メートルもの花崗岩の大岩で、米を蒸す「甑」に似ているので「甑岩(こしきいわ)」と呼ばれています。
攝津名所図会(1836年)にも描かれ、室町時代の山崎宗鑑が「照日かな 蒸すほど暑き 甑岩」と詠むなど、古くから知られた大岩でした。
現在の甑岩には市杵島姫が女性守護・安産・子授の神様として祀られていますが、池田仁三氏は、甑岩の台座を写真に撮り、画像解析を行うことで、「稚日女命宮、庚子年九月廿日薨、御年四十七歳」と彫られていると発表されており、甑岩に稚日女が祀られている可能性があります。
大阪城の石垣を築く工事が始まった頃、この甑岩を石垣用の石材にしようと石工がノミを入れたとき、岩の裂け目から白い煙が噴出し、石工達は悶えて息絶えた。という話が伝わっています。伝説の通りに、甑岩の東側には、大阪城築城のために岩石を調達しようとした大名の刻印が残っています。また、北側の上部の三角形の岩に矢穴があることから、そのときに切り出そうとした跡と考えられます。
イワクラ学的には、甑岩の形は女陰を模したもので、北側には、真北を指す方位石が置かれ、典型的な祭祀場の形態になっており、この甑岩は北を拝する磐座です。また、甑岩から北山公園内の鳥のイワクラ、陽石、太陽石と南北にイワクラが連なって、巨大な祭祀ラインを形成しています。
阪神淡路大震災(1995年)は、この甑岩(南座)の一部と境内の北座に被害を与えました。どちらも修復されていますが、北座は元の姿を留めていません。
『イワクラ学中級編(平津豊、ともはつよし社、2021)』より
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