【Introduction of Iwakura 109】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:巨岩組
□備考:周辺に仰臥岩、雲ケ岩、及び心経岩がある
□住所:兵庫県神戸市灘区六甲山町
□緯度経度:34°45’59.25"N 135°14‘21.15"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
神戸六甲山の「六甲」という地名表記は、14世紀の漢詩集にみられ、「六高」とも書かれています。しかし、この「六甲」「六高」を「ろっこう」と読みだしたのは最近で、かつては「むこ」と読んでいました。このことは、務古水門(むこのみなと)、武庫川(むこがわ)という地名が残っていることからわかります。
また、「六甲山」は向つ峰(むかつみね)であるという説があり、「むかつ」が転じて「むこ」になったといいます。そうすると、「六甲比命神社」は「ムカツ姫神社」となります。また、六甲山を北西に望む広田神社の御祭神は、撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと)であり、ムカツ姫です。竹内文書にも、上古代二十二代天疎日向津比売身光天津日嗣天皇(あまさかりひにむかいつひめのみひかりあまつひつぎあめのすめらみこと)というムカツ姫が登場します。
神話研究家の大江幸久氏は、このムカツ姫は、瀬織津姫(せおりつひめ)であるとの興味深い説を展開しています。瀬織津姫は、罪や穢れを流す神として大祓詞にしか登場しない神ですが、ホツマツタヱによると、サクナダリ・セオリツ姫ホノコとして登場し、天照大神が姫の前に立たれて正室として迎え入れたことにより、天下(あまさがる)日前向津姫(ひのまえにむかつひめ)と呼ばれたとされています。ホツマツタヱの場合、天照大神は男神です。後世に天照大神を女神としたことにより矛盾が生じ、瀬織津姫は隠されてしまったといいます。
この説によると、現在の六甲比命神社には弁財天が祀られていますが、本来は瀬織津姫が祀られていたことになります。
六甲比命神社は、岩屋の部分を拝む形で祭祀されています。神社までは険しいルートでしたが、大江氏が梯子を取り付けられて参拝しやすくなり、最近は瀬織津姫ブームで多くの女性たちがこの神社まで訪れています。
その六甲比命神社の真下には、六甲比命大善大神(ろっこうひめだいぜんおおかみ)の磐座があります。丸みを帯びた巨岩が岩壁に積みあがっており、あまりの大きさに圧倒されます。瀬織津姫の眷属が兎であることから、巨岩は兎を模っているとも言われています。
この磐座は、大江氏が瀬織津姫の磐座であると比定してから注目された巨岩組であり、祭祀がいつまで遡れるのかについての情報が伝わっていません。多聞寺の奥の院の禁足地として隠されてきた為なのかもしれません。
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